有機化学

アルコールの価数と級数

アルコールの価数と級数は良く混同してしまいがちですので気を付けましょう。

(アルコールの価数)
アルコール1分子に何個の-OH(ヒドロキシ基)があるかということ

(アルコールの級数)
-OH(ヒドロキシ基)のついている炭素原子に何個の炭素原子が
直接ついているか。(但し、メタノールCH3OHは1級として扱う)

なお級数を考えるのは、通常1価のアルコールのみです。
また、価数は炭素原子の数が増えればいくらでも増加できますが、級数は炭素原子の原子価が4価であるため、構造上3級までしか存在しません。
ちなみに、アルコールの級数とお酒の2級酒とかの級数は全く関係ないです(^_^)。

アルコールの酸化

アルコールは級数によって、酸化の過程やできる物質が異なります。
1回目の酸化は、水素原子が2個取れる酸化です。
2回目の酸化は、酸素原子が一つ付く酸化です。
1級アルコール2回酸化しますが、
2級アルコールは1回のみ、
3級アルコールは酸化されにくいです。

また酸化されできる物質は
1級アルコール→アルデヒド→カルボン酸
2級アルコール→ケトン
となります。

アルコールの酸化も良く試験で問われますので、級数ごとに酸化の状態を覚えておきましょう。

アルコールの酸化の例

アルコールは級数によって、酸化の過程や生成される物質が異なります。
身近にあるもので具体例をあげると
<1級アルコール>
メタノール → ホルムアルデヒド → 蟻酸
エタノール → アセトアルデヒド → 酢酸

<2級アルコール>
2プロパノール → アセトン

ホルムアルデヒドの溶液はホルマリンとして標本などの防腐剤として使われています。

蟻酸は昆虫の毒の主成分です。

酢酸は食酢の主成分です。

エタノールの酸化はお酒を飲んだ時に肝臓で起こっている反応です。
アセトアルデヒドは二日酔いの原因物質の一つとされ、
お酒を飲み過ぎて肝臓が処理しきれずに、翌日体内にアセトアルデヒドが残っている状態といわれています。
アセトアルデヒドは、毒性がありますので、頭痛がしたり、吐き気がしたりするわけです。

2プロパノールは、イソプロピルアルコール(IPA)という名前で薬局に売ってあります。消毒や脱脂等の洗浄に使われたりしています。
アセトンも同様に脱脂等の洗浄に使われたりしていますが、かなり強い有機溶剤ですので、樹脂パーツなどのプラスチック製品に使用する際は、樹脂部が溶けてしまう場合もありますので、注意が必要です

マレイン酸とフマル酸

マレイン酸とフマル酸は分子式は同じである2価の不飽和カルボン酸ですが、幾何異性体の関係にあるため、マレイン酸は極性分子でフマル酸は無極性分子です。 この極性の有無の違いで、水への溶解度や融点が大きく異なっています。
フマル酸は、毒性を持たないため食品添加物として酸味料、調味料、pH 調整剤、​膨張剤として使用されている一方、マレイン酸は工業製品の原料など幅広い分野で利用されています。