・慣性力(1)
(慣性力とは)
バスや電車が発車や停車のような加速度運動をする時に、『乗車している人」が、乗り物が加速する方向と逆向きに感じる「見かけの力」のことです。
この状態で、天井から吊り下げたおもりの糸を切ると、乗車中の人には、後方斜め下に直線的に落ちていくように見えます。
また、この状態で乗車している人が、目を閉じて周りの状況が全く分からなかったとすると、斜め後ろが真下になったように感じます。(上り坂に立っているようなイメージ)
・慣性力(2)
(振り子を使って、加速度Gを測定)
宇宙飛行士は打ち上げの際に何Gの力を受けるとか聞きますが、自分の乗っている乗り物が何Gで加速しているか、慣性力を使えば、簡単に測定することができます。
※加速度Gとは、重力加速度の何倍の加速度かを意味しています。
乗車中の乗り物の中で、糸で吊るしたおもりが鉛直方向から、何度傾いているかを測定するだけです。
その角度のタンジェントの値がそのまま何Gかを示します。
※ただし、地球の地表(海面)を水平に走る乗り物の場合です。
・慣性力(3)
(浮いている物体に働く慣性力)
慣性力による振る舞いは、振り子のように重力でぶら下がっているものとちがって、風船のように浮力で浮いているものでは、間違いやすいので注意が必要です。
加速中の乗り物の中は、青矢印の向きが見かけ上の真下だとと思うと、乗車中の人から見た加速中の乗り物中での運動を理解しやすいです。(風船は真上に向かって浮かびます)
ちなみに、「加速度運動中の台車にぶら下がった振り子の傾く向きはどちらですか」みたいな問題が2021年の大学入学共通テストの物理の第一問に出題されてました。
もし、風船の傾きを選ぶ問題も出ていたら、正解率はかなり下がっていただろうなと思ってます。